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キャリア教育で育成すべき「基礎的・汎用的能力」とは?

キャリア教育を実践していく上で、身につけていくべきとされる「基礎的・汎用的能力」。一言でまとめられていますが、実際どんな力のことなのか想像がつきにくいかもしれません。今回は、文部科学省の資料から「基礎的・汎用的能力」とは何を指しているのか抜粋しながら噛み砕いてご紹介します。

キャリア教育で身につけたい力「基礎的・汎用的能力」とは

基礎的・汎用的能力は、社会的・職業的自立、学校から社会・職業への円滑な移行に必要な力に含まれる要素の一つとされています。
これは、2011年に文部科学省の中央教育審議会の答申「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」で述べられています。
学校を卒業して、社会・職業へ移行していくためには、読み書き計算などの「基礎的・基本的な知識・技能」や、物事を筋道立てて考え、新たな発想を生み出す「論理的思考能力、創造力」などと同じように「基礎的・汎用的能力」が必要とされています。基礎的・汎用的能力は、どの職業や分野においても自立するために必要な基盤の力と考えられており、「コミュニケーション能力」や「熱意・意欲」、「行動力・実行力」などが挙げられています。
具体的には4つに分けられており、

とされています。

キャリア教育における人間関係形成・社会形成能力とは

答申では、人間関係形成・社会形成能力は、以下のように述べられています。

多様な他者の考えや立場を理解し,相手の意見を聴いて自分の考えを正確に伝えることができるとともに,自分の置かれている状況を受け止め,役割を果たしつつ他者と協力・協働して社会に参画し,今後の社会を積極的に形成することができる力である。
(中略)
具体的な要素としては,例えば,他者の個性を理解する力,他者に働きかける力,コミュニケーション・スキル,チームワーク,リーダーシップ等が挙げられる。

要素に分解していくと、

ということになります。
「相手の意見を聴いて、自分の考えを正確に伝える」という部分は、コミュニケーション・スキルとも言えそうです。また、「役割を果たしつつ、他者と協力・協働して社会に参画することができる」の部分はリーダーシップやチームワークとも言えそうです。
平たく言い換えると、「いろいろな人と"うまくやっていく"力」読み取ることができます。

キャリア教育における自己理解・自己管理能力とは

2つ目の力である「自己理解・自己管理能力」は、以下のように説明されています。

 「自己理解・自己管理能力」は,自分が「できること」「意義を感じること」「したいこと」について,社会との相互関係を保ちつつ,今後の自分自身の可能性を含めた肯定的な理解に基づき主体的に行動すると同時に,自らの思考や感情を律し,かつ,今後の成長のために進んで学ぼうとする力である。
(中略)
具体的な要素としては,例えば,自己の役割の理解,前向きに考える力,自己の動機付け,忍耐力,ストレスマネジメント,主体的行動等が挙げられる。

「社会との相互関係を保ちつつ」という部分が読み取りにくいですが、さまざまな他者との協力や協働が求められている社会の中で自分を律していくことを示していると考えられます。全体を噛み砕いていくと、自分を自分で認めることや、自分の能力を磨いていくこと、そしてそれを続けることが求められています。

キャリア教育における課題対応能力とは

3つ目の力である「課題対応能力」は、以下のように説明されています。

「課題対応能力」は,仕事をする上での様々な課題を発見・分析し,適切な計画を立ててその課題を処理し,解決することができる力である。
この能力は,自らが行うべきことに意欲的に取り組む上で必要なものである。また,知識基盤社会の到来やグローバル化等を踏まえ,従来の考え方や方法にとらわれずに物事を前に進めていくために必要な力である。さらに,社会の情報化に伴い,情報及び情報手段を主体的に選択し活用する力を身に付けることも重要である。具体的な要素としては,情報の理解・選択・処理等,本質の理解,原因の追究,課題発見,計画立案,実行力,評価・改善等が挙げられる。

この力については、具体的な要素が多く示されています。与えられた問題を解くような力ではなく、仕事に向かう上で、さまざまに現れる課題に対応したり、潜在的な課題を発見したりするための幅広い力
だと考えられます。

キャリア教育におけるキャリアプランニング能力とは

最後はキャリアプランニング能力です。この力については以下のように説明されています。

「キャリアプランニング能力」は,「働くこと」の意義を理解し,自らが果たすべき様々な立場や役割との関連を踏まえて「働くこと」を位置付け,多様な生き方に関する様々な情報を適切に取捨選択・活用しながら,自ら主体的に判断してキャリアを形成していく力である。
この能力は,社会人・職業人として生活していくために生涯にわたって必要となる能力である。具体的な要素としては,例えば,学ぶこと・働くことの意義や役割の理解,多様性の理解,将来設計,選択,行動と改善等が挙げられる。

要素に分解すると、

となります。
つまり、自分でどんなキャリアを歩むか決める力ということになります。

キャリア教育で身につける基礎的・汎用的能力はこんな力!

今回は、基礎的・汎用的能力の内容を要素に分解したり、言い換えたりしながらわかりやすく説明してきました。
簡単にまとめると、

ということになります。
身につけるべき力を頭に入れてキャリア教育を組み立てることで、指導のポイントが明確になっていくと思います。キャリア教育の課程を見直す際にはぜひ参考にしてください。

参考資料:
中央教育審議会 答申「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」
国立教育政策研究所 キャリア発達にかかわる諸能力の 育成に関する調査研究報告書

 

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