熊本県熊本市は平成24年に政令指定都市になりました。今年は10周年になります。熊本市は教育にも力を入れていて、市長も教育長も積極的な情報発信を行なっています。教育センターでは自由に使えるデジタル教材を公開しているなど、市外の人にも有用な情報がたっぷりです。今回は熊本市の教育の取り組みをご紹介します。
教育センターの取り組み:デジタル教材の公開
熊本市教育センターでは、オリジナルデジタル教材が公開されています。
小学校版、中学校版、共通の分類があり、「デジタルタイマー」や「こころの数直線」など教育活動の様々なタイミングで使えるものが無料で公開されています。小学校向けには、ローマ字入力の練習など、また、中学校向けでは数学の2次関数のグラフなど、活用しやすいです。ブラウザからアクセスするだけで使用できるので、一度チェックしてみるといいでしょう。
熊本市教育センター デジタル教材
オンラインイベント開催!アーカイブ公開中
2022年1月には、Kumamoto Education Weekというオンラインイベントが行われました。東京パラリンピックのメダリスト富田宇宙さんをはじめ、池上彰氏など、さまざまな著名人の方からのメッセージが送られています。また、熊本大学の教授の方々や、熊本市内の現役の教員の方々が参加しているものもあります。
9日間にわたって行われた各講座の様子は、Youtubeのアーカイブ映像として公開されています。興味のある講座がある方はチェックしてみる価値がありそうです。
学校は「稼ぐ」べき!教育長の学校寄付の施策
教育長の遠藤洋路氏は、元々は文部科学省の職員でした。民間企業に転職し、その後2017年に熊本市の教育長に着任しています。
着任以来、facebookやブログで情報発信をしています。2022年6月20日の記事では、「教育長だより ー稼げる学校・教育委員会へ」というタイトルで、月刊誌に掲載されたものを転記されています。
学校の課題を解決するには予算を確保することが必要であるという見解を示した上で、以下のように述べています。
それに比べれば「学校」という存在の信用は絶大である。企業であれ個人であれ、寄付先として、学校以上に信頼でき「善いこと」をしたと言える存在はなかなかない。子ども達の未来のために寄付をすることは、誰もが称賛する行為である。つまり、これほど堂々と「お金をください」と言いやすい存在はないのだ。
(中略)
熊本市では今年度から、学校を指定して寄付を受け、全額がその学校の独自財源になる仕組みを整えた。これまでも、学校の自販機収入を学校の独自財源にする仕組みや、テレビ局と提携してCM収入を使って教育委員会のイベントを運営するなど、財源確保の工夫をしてきた。これらは当然、公費による教育費は増やした上でのことであり、決して公費負担を転嫁しているわけではない。
教育長ブログ 2022年6月20日「教育長だより ー稼げる学校・教育委員会へ」より
各学校が寄付を受け、学校で自由に使える資金となれば、学校の活動の幅が広がる可能性があります。今のところ、寄付の制度についての広報は間に合っていないようですが(※)、他の地域にも広がる取り組みかもしれません。
※遠藤教育長のfacebookの6月20日の投稿にて「ホームページ掲載は間に合っていないようです」というコメントがありました。(2022年6月28日確認)
公立の学校・教育委員会でもできることはたくさん!
今回は熊本の例を紹介してきました。市や教育委員会によって様々な取り組みが行われています。学校ごとの寄付が実施されるようになれば、学校で自由度が上がるかもしれません。どのような仕組みなのかこれから公開される情報にも注目です。
教育委員会が本気出したらスゴかった。 ―コロナ禍に2週間でオンライン授業を実現した熊本市の奇跡ー
みんなの「今」を幸せにする学校 不確かな時代に確かな学びの場をつくる