子どもたち一人一人に合った個別最適な学びとは?わかりやすく解説!
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ICTが浸透してきた学校現場では、今までの「一斉指導」から、一人一人の進度に合わせた学び方が実施できるようになってきています。学習指導要領でも「個別最適な学び」という言葉が出てきていますが、どのようなものなのでしょうか。

「個別最適な学び」を図る背景とは

2021年1月に、文部科学省の中央教育審議会で、学習指導要領に示された資質・能力の育成を着実に進めることが重要で、そのために、学校における新たなツールとなるICTを最大限活用しながら、多様な子どもたちを誰一人取り残すことなく育成する「個別最適な学び」と、「協働的な学び」の一体的な充実が図られることが求められる」とされています。
つまり、個別最適な学びを図る目的は、学習指導要領に現在示されている資質・能力を着実に育成するためということです。

学習指導要領に示された能力を着実に育成するとは?何をするの?

現在の学習指導要領では、「社会に開かれた教育課程」と「主体的・対話的で深い学び」が重視されています。とくに、「主体的・対話的で深い学び」の実現のためには、児童生徒が自ら「学び」に向かい、他者と協働して深く学ぶことが必要です。自ら学びに向かうことを促進するためには、一律にみんな一緒ではなく、一人一人にあった課題に取り組むことも必要です。

また、すべてを一人でこなすだけでは「対話的な学び」にならないため、他者と協働して取り組むことも必要です。
したがって、個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実が図られることが求められているのです。

「個別最適な学び」は「指導の個別化」と「学習の個別化」

先述の答申において、個別最適な学びについて以下のように述べられています。

全ての子供に基礎的・基本的な知識・技能を確実に習得させ、思考力・判断力・表現力等や、自ら学習を調整しながら粘り強く学習に取り組む態度等を育成するためには、教師が支援の必要な子供により重点的な指導を行うことなどで効果的な指導を実現することや、子供一人一人の特性や学習進度、学習到達度等に応じ、指導方法・教材や学習時間等の柔軟な提供・設定を行うことなどの「指導の個別化」が必要である。

基礎的・基本的な知識・技能等や、言語能力、情報活用能力、問題発見・解決能力等の学習の基盤となる資質・能力等を土台として、幼児期からの様々な場を通じての体験活動から得た子供の興味・関心・キャリア形成の方向性等に応じ、探究において課題の設定、情報の収集、整理・分析、まとめ・表現を行う等、教師が子供一人一人に応じた学習活動や学習課題に取り組む機会を提供することで、子供自身が学習が最適となるよう調整する「学習の個性化」も必要である。

指導の個別化と学習の個別化の両方の視点から「個別化」していくことで、個別最適な学びが実現されるということのようです。詳しく見ていきましょう。

個別最適な学びのための指導の個別化

指導の個別化とは、すべての子がその子に合った方法で、その子に合った目標を達成できるように指導を行うということです。

1時間の授業の中で達成したい目標に対して、時間の幅を持たせて、時間をかけてその目標を達成してもOKという時間を作ったり、早く目標を達成できてしまった子には発展課題や類似課題を用意したりするなどすれば、どの子も自分のペースで学習を行うことができるようになります。

また、「ヒントカード」の用意なども指導の個別化につながります。課題を解くヒントを事前に用意しておき、ヒントなしで達成したい子は自分の力で、ヒントをもらって達成したい子はヒントをもらいにいくなど、児童生徒が選択できる指導の環境を作るのが「指導の個別化」と言えるでしょう。

個別最適な学びのための学習の個別化

学習の個別化とは、どの子も自分の興味関心にあった学習を行ったり、自分にあったアウトプットの方法で表現したりすることです。総合的な学習の時間などはとくに、自分の興味に合ったものを選択したり、発表の方法を自分で選んだりすることができます。

指導の個別化と組み合わせながら、児童生徒自身が「自分に合うもの」を考え、選ぶことが必要です。

個別最適な学びの実現に向けてICTの活用を!

個別最適な学びを実現するためには、ICTの導入が不可欠です。問題演習を繰り返しできるものや、児童生徒の課題の進捗状況を教員が確認できるものなどさまざまな用途に合わせて開発されています。
指導にあたる先生方は、ご自身の学校で使えるものや個人でも活用可能なものなどを探してみてはいかがでしょうか。

参考:
教育課程部会における審議のまとめ(令和3年1月25日中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会)
『令和の日本型学校教育』の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~(答申)(令和3年1月26日中央教育審議会)

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