協働的な学びとは?わかりやすく解説!協働的な学びは個別最適な学びとともに充実させるもの!
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ICTが浸透してきた学校現場では、今までの「一斉指導」から、一人一人の進度に合わせた学び方が実施できるようになってきています。そのため、「個別最適な学び」を目指していくことが示されていますが、同時に、「協働的な学び」も進めていくことが求められています。協働的な学びとはどういう意味なのでしょうか。

「協働的な学び」の「協働」とはどのようなことを指す?

協働的な学びの協働とは、「同じ目的のために、対等の立場で協力して共に働くこと」とされています。単に協力するだけではなく、「同じ目的のために」「対等の立場で」という文言が含まれています。

それを踏まえた上で、R3年の中教審の資料を見てみると、

 

探究的な学習や体験活動などを通じ、子供同士で、あるいは地域の方々をはじめ多様な他者と協働しながら、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、様々な社会的な変化を乗り越え、持続可能な社会の創り手となることができるよう、必要な資質・能力を育成する「協働的な学び」を充実することも重要である。

令和3年答申 教育課程部会における審議のまとめ p.4

 

とされています。

同じ目的」とは「持続可能な社会の作り手となる」こと、

対等の立場」とは、「あらゆる他者を価値ある存在として尊重」すること

という部分に対応させることもできそうです。

協働的な学びは、多様な他者とともに持続可能な社会を創っていくための資質・能力を育成する学びであるといえるでしょう。

では、具体的にはどのような学習を指すのでしょうか。

協働的な学びはどのように充実させるの?

国語の学習であれば、言語活動を通した子どもたちの関わりにおいて、協働的な学びを行うことができます。

例えば自分が読んだ本を人に薦める「本の紹介シート」を作る学習であれば、自分にあった本を選んだり、自分のペースで紹介シートを作成し推敲したりするのは個別に学習を進めることができます。どんな言葉を選べばその本の良さが伝わるか、自分はどこが良いと思ったのかをきちんと言語化することは、個の学びを深めます。

そこで終わるのではなく、それを子どもたち同士で交流することにより、協働的な学びとなっていきます。他者である友達の学びを知ることで、相対的に自分の学びも深まっていくでしょう。

また、理科の学習であれば、実験を用いた学習で協働的な学びを深めることができます。

例えば、植物の発芽の条件を調べる実験であれば、自らの経験や知っていることなどを元にして予想を立てることで、個の学びを深めます。そして、その予想を子どもたち同士で共有したり、実験の条件制御について検討したりすることにより、協働的な学びとなっていきます。

その際、自分の予想と異なる予想をしている友達がいても、他者を尊重し、理科の見方・考え方を働かせて話し合うことが、協働的な学びにとって重要です。自分と違うから、と切り捨ててしまっては、協働的な学びにはなりません。

協働的な学びと個別最適な学びとの関係は?

『令和の日本型学校教育』の構築を目指して(答申)」では、これまでの日本の学校教育が大切にしてきた一人一人の子どもの可能性を引き出す学びを保障しつつ、変化する時代の中で様々な他者とのコミュニケーションを行う場としての学校教育の特質を生かした個別最適な学びと協働的な学びの両方を重視することが求められています。

上述の国語や理科の学習の例のように、一人一人の「個別」の学びがあり、その上で、子どもたちの交流が生まれ、協働的な学びに進んでいくのです。また、協働的な学びで他者からの視点を受けて、自分の学びが深まっていくこともあります。

このように、個別最適な学びと協働的な学びは一体的なものであり、両者ともに重要なのです。

協働的な学びにICTは活用できる?

個別最適な学びでは、一斉指導からの脱却という意味でも、様々なICTツールの活用が期待されています。しかしICTツールは協働的な学びにも有効です

例えば、子どもたちのグループワークを進める際に、一つの資料を共同で編集することができます。また、学級での話し合いの際などには、電子黒板等を使えば、個人の意見を今まで以上に見やすく全員で共有することもできます。さらに、今までリアルタイムでは交流できなかった遠隔地にいる人々との交流もオンラインで行うことができるようになります。

協働的な学びは「令和の日本型学校教育」に必要不可欠!

今回は、協働的な学びについてご紹介しました。「令和の日本型学校教育」についてまとめた答申のサブタイトルには「全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現」とあります。協働的な学びの実現は、これからの学校教育に必要不可欠ということです。ICTツールもどんどん活用の幅が広がっています。子どもたちの可能性を、協働的な学びで引き出していきましょう。

参考:
教育課程部会における審議のまとめ(令和3年1月25日中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会)
『令和の日本型学校教育』の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~(答申)(令和3年1月26日中央教育審議会)
新しい学習指導要領を研究する会『3時間で学べる「令和の日本型学校教育」Q&A』明治図書

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