企業版ふるさと納税とは?教育に生かす事例も!
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ふるさと納税は、自分に縁のある地方公共団体や応援したい地方公共団体を選んで寄付をすることができる仕組みです。寄付のお礼とされる「返礼品」をめあてに寄付先を選んでいる人も多いかもしれません。これは個人向けのふるさと納税の仕組みですが、実は法人を対象とした「企業版ふるさと納税」も存在しています。実は、寄付金が教育に生かされている例もあるのです。今回は、企業版ふるさと納税についてご紹介します。

企業版ふるさと納税とは

企業版ふるさと納税とは、国が認定した地方公共団体の地方創生の取り組みに対して、企業が寄付を行った場合に、企業が支払う法人関係税から税額を控除する制度です。制度の正式名称は「地方創生応援税制」といいます。

個人版のふるさと納税では、個人の住民税や所得税が控除されるのと同様に、企業版のふるさと納税では、企業の法人税が控除されるということです。

寄付の対象は地方創生事業

企業版ふるさと納税の寄付の対象となるのは、国が認定した地方公共団体の地方創生事業です。
2024年4月時点で、46道府県、1598市町村が国の認定を受けています。これらの地方公共団体の事業を選んで寄付をすることになります。
地方公共団体の事業は、内閣府総合サイト内の「企業版ふるさと納税ポータルサイト」から探すことができます。また、地方公共団体のホームページで公開されている場合もあります。

企業版ふるさと納税の税軽減の仕組み


一般に、法人が地方地方公共団体などに寄付した場合、寄付額の全額が損金扱いとなり、約3割の税が軽減されます。
企業版ふるさと納税を活用すると、上記に加えて、寄付額の約6割について、法人関係税から税額控除を受けることができます。
約3割の損金算入による税の軽減と、約6割の税額控除を合わせると、寄付にかかる企業の実質的な負担は約1割になるのです。
企業にとっては少ない負担で寄付ができる仕組みが整えられています。

企業版ふるさと納税で寄付をする企業にとってのメリット


企業版ふるさと納税で地方公共団体へ寄付することによって、社会貢献に取り組む企業としてのPR効果や、CSRの推進につながることが期待できます。

また、寄付をきっかけに地方公共団体と企業との関係ができ、新たなパートナーシップを構築する機会ができます。さらに、その地方公共団体の地域資源を生かした新たな事業展開なども期待できます。

企業版ふるさと納税に返礼品はない!?企業にとってのベネフィットとは

企業版ふるさと納税は、寄付を行う代わりに経済的な利益を受けることは禁止されています。個人のふるさと納税のように「返礼品」はありませんし、地方公共団体が、寄付の代償として補助金を交付したり、商品券を提供するなど、企業にとって経済的な利益となるものを提供することはできません。
その代わりに、地方公共団体から企業へのベネフィットが用意されていることが多いです。例えば、地方公共団体のホームページや広報誌、広報番組などで、寄付の活用事業と寄付企業を紹介したり、寄付活用事業で整備された施設に銘板を設置することなどが挙げられます。また、首長から感謝状を贈呈したりするなど、企業にとって広報の機会になる要素が多いようです。

実際に企業版ふるさと納税で寄付を受けた地方公共団体のホームページを見てみると、寄付した企業やその金額、感謝状を贈呈した様子などが掲載されています。

企業版ふるさと納税のここに気をつけて!

企業版ふるさと納税の仕組みを活用するには、いくつかの注意点があります。

制度の対象となるのは1回あたり10万円以上の寄付

この制度の対象となるのは、1回あたり10万円以上の寄付です。
下限が低めに設定されていることから、多くの企業にとってチャレンジしやすい仕組みになっています。

企業の本社がある地方公共団体への寄付は制度の対象とならない

寄付しようとしている企業の本社がある都道府県、市町村への寄付は、企業版ふるさと納税の制度の対象とはなりません。
制度を活用したい場合は、本社が所在する場所以外の地方公共団体への寄付を検討しましょう。
また、その他にも一部対象外となる地方公共団体があるため、制度の利用の際には事前に確認が必要です。

企業版ふるさと納税は、寄付額も寄付件数も右肩上がり!

企業版ふるさと納税は平成28年度にスタートした仕組みですが、令和2年度の制度改正以降、現在のように企業の税制優遇が寄付額の約9割になっています。
そのため、令和2年度以降寄付額、寄付件数ともに急増しています。
令和4年度の実績を見ると、寄附金額は前年比約1.5倍の341.1億円、寄付件数は前年比約1.7倍の8,390件となっています。
寄付を行った企業数は、前年比約1.5倍の4,663、寄付を受領した地方公共団体の数は前年比約1.3倍の1,276となりました。

寄付金受け入れが多い地方公共団体は

寄付金の受け入れ額が多い地方公共団体も紹介されています。

  1. 静岡県裾野市
    寄付件数6件、寄付額15億4630万円
  2. 北海道大樹町
    寄付件数71件、寄付額14億690万円
  3. 宮城県
    寄付件数35件、寄付額12億6970万円
  4. 徳島県神山町
    寄付件数11件、寄付額12億1450万円
  5. 岩手県遠野市
    寄付件数8件、寄付額12億1210万円
  6. 群馬県太田市
    寄付件数17件、寄付額11億1080万円

静岡県裾野市は、ウーブン・シティとの連携を視野に入れた「JR岩波駅周辺整備事業」や富士山・箱根の自然環境等を生かした「スポーツツーリズム事業」で寄付を集めています。

また、北海道大樹町は、「宇宙の街づくり事業」として、北海道スペースポートプロジェクトを中心に寄付を集めています。

多くの企業の関心を集めるプロジェクトや、大きな企業と連携するプロジェクトがあると、寄付金を集めやすくなるのかもしれません。

教育にかかわる企業版ふるさと納税の事業も

企業版ふるさと納税を活用して、教育に関わる費用を寄付によって集めている事例もあります。

徳島県神山町 神山まるごと高専の開校支援

2023年4月に開校した神山まるごと高専は、私立の高等専門学校です。徳島県神山町の地域再生計画の中に、企業版ふるさと納税の用途として、神山まるごと高専の設立費用にあてることが盛り込まれていました。そのため、民間企業が企業版ふるさと納税の仕組みを使って寄付をすることで、学校の設立費用を支援することができたのです。

このプロジェクトは、令和4年度の地方応援税制(企業版ふるさと納税)大臣表彰を受賞しています。受賞した令和4年12月時点の累計で、約12億円の寄付が集まっています。

神山まるごと高専の開校を、企業版ふるさと納税で4社が支援
令和4年度「地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)大臣表彰」受賞者 取組概要

福岡県北九州市 私立学校支援事業

福岡県北九州市には、特色のある私立学校が多く存在しています。北九州市では、企業版ふるさと納税の仕組みを活用して、義務教育期の私立学校を支援しています。

  • 多様な教育の提供による選択肢の増加
  • 特色を生かした教育カリキュラムの推進による私立学校のレベルアップ
  • 魅力ある教育環境整備による住みたくなるまちづくり

などがねらいとして挙げられています。

寄付を指定できる私立学校がホームページで挙げられていて、企業は学校を指定することができます。寄付を受けた学校では、特色ある教育活動や教育環境の充実に
寄付金を活用されている
そうです。
寄付金額の1割は、市内の私立学校全体へ配分し、市内全体の私立学校の魅力向上を図るとされています。

寄付企業や金額、寄付の詳細は、北九州市のホームページにて公表されています。

北九州市|企業版ふるさと納税を活用した私立学校支援事業

企業版ふるさと納税で企業が教育にかかわる機会も

企業版ふるさと納税は、企業が地方公共団体と新たなパートナーシップを築くきっかけになるものです。企業の方にとっても、地方公共団体の方にとっても、メリットのある仕組みだと言えるでしょう。地方公共団体の事業によっては、学校にかかわる費用を寄付することもできるかもしれません。教育に関心のある方は、ご自身のゆかりのある地方公共団体の事業を調べてみてはいかがでしょうか。

参考:地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の令和4年度寄附実績について(概要)

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