1月31日に福岡県飯塚市の飯塚市立菰田小学校で研究発表会が行われました。同校は、飯塚市のICT教育推進研究指定校とされており、普段から校務や授業内で様々なICTツールが活用されています。「学ぶことを楽しみ、解決する力を育む授業づくり」という研究主題にあるように、学ぶことを楽しむ子どもたちの姿が見られました。菰田小学校の研究発表会の様子をご紹介します。
目次
菰田小学校の研究主題とは
菰田小学校の研究主題は、「学ぶことを楽しみ、解決する力を育む授業づくり」です。副題として「問題解決的な学習過程におけるICT活用を通して」と設定されています。社会のあり方が劇的に変わっていっている現代、その先の未来を生きる子どもたちには、自ら課題をもち、問題解決的な学習を行うことが非常に重要であり、また、その学習過程においてICT活用が必要不可欠であることが背景になっています。
全7クラスが授業を公開
研究発表会では、校内の全7クラスで授業が公開されました。どの学級でもICTツールを日常的に活用していることが感じられました。
1年生
1年生は、国語科「ことばをあつめよう」の単元で、言葉をグループ分けして、身の回りの言葉をたくさん集める学習が行われました。授業を見学しにきた先生方を前に大きな声であいさつする姿、張り切ってピンと背筋を伸ばして授業に取り組む姿が印象的でした。
ICT活用の面では、先生が電子黒板を使って情報を提示したり、既習学習でロイロノートを活用している掲示物があったりと、日常的に活用されている様子がわかりました。いつも使っているからこそ、ICTツールを使いながらも落ち着いて授業が進んでいくのだと感じられました。
2年生
2年生も、1年生と同様に、ロイロノートを活用した学習活動を行っていました。算数科の「三角形と四角形」の単元で、いろいろな形を三角形、四角形、どちらでもない形に分類していきます。
手元のタブレットで作業して、全体交流の場面では電子黒板に注目。子どもたちは自然とクラスメイトの意見を見比べて、「◯◯さんはこうしてる!」「△△さんのとはちがう!」などの声が上がっていました。意見を発表する子がいると自然とその子の方を見てみんなで聞くなど、メリハリがありました。
3年生
3年生は、理科の学習です。「ものの形を変えると重さはどうなるか」というめあてをもち、アルミホイルや新聞紙、針金などの重さが形を変えることで変わるのか調べる実験を行っていました。
自分たちでものを選ぶという楽しさもあり、子どもたちは積極的に実験に取り組んでいました。結果はワークシートに書き込んだうえで、ロイロノートに提出する形になっており、紙や鉛筆とタブレットが同等に扱われていることが感じられました。
4年生
4年生では国語科「調べたことをほうこくしよう」の授業が行われました。発表の内容をロイロノート上のカードに書き、発表原稿を作成します。この時間の中では、共有された他のグループの発表原稿を読み、コメントをするという交流が行われていました。4年生ともなるとタイピングもかなりスムーズになっているようでした。他のグループが書いた内容も、一人ひとり自分のタブレットで確認できるようになっており、タブレットのいい面を活かしながら、子どもたち同士の交流が行われていました。また、発表原稿は、文章の流れや内容にこだわって推敲する必要があります。このような場面では、紙に書くよりもタブレットで取り組んだほうが、書き直したり順番を入れ替えたりするのが容易で、子どもたちの負担も軽くなるのかもしれません。
4年生の様子。ロイロノートで発表原稿にコメントを入れている。タイピングもスムーズ。5年生
5年生は、「国土の自然とともに生きるー自然災害とともに生きるー」の単元で学習してきたことをまとめる時間でした。スプレッドシート、クラスルームのストリーム、スライドなどGoogle系のツールを使いつくして学習が行われていました。とはいえ、考えたことは付箋に書いてホワイトボードに貼ったり、ポイントは先生が黒板にまとめたりと、ICTツールを適切なタイミングで選んで使っているのがわかりました。また、電子黒板、黒板、ホワイトボード(付箋)と見る場所がたくさんあっても子どもたちが必要な場所を自分で確認して考えている様子もあり、日常にICTツールが溶け込んでいることが伝わってきました。
5年生の全体交流の時間。電子黒板、ホワイトボード、黒板をフル活用。6年生
6年生の体育の学習では、卒業ダンス「思い出のデッサン」の中で、グループごとのダンスの練習をタブレットで撮影し、それを見て動きを振り返るという活動が行われました。自分たちが表したい思いやイメージを体で表現することができているのか、やってみてすぐに自分たちで振り返ることができるのは、ICTツールならではのメリットです。実際に活動している子どもたちからもタブレットがあって便利だという声がありました。また、ダンスの練習をして終わりではなく、本時の良さや反省点をロイロノートで共有し、発表する時間もありました。一人ひとりワークシートに振り返りをするのではなく、体育館でもその場で振り返りの交流ができるのはICTならではのメリットでしょう。
6年生の様子。自分たちのダンスをその場で確認。特別支援学級
特別支援学級では、学習参観でお家の人に伝える「1年間がんばったこと」の内容を決める学習が行われました。授業の冒頭、お家の人からのメッセージ動画を学級全体で視聴し、子どもたちそれぞれが意欲を高め、これからの学習に向かっている様子が感じられました。動画は子どもたちにとってインパクトがあり、動機づけに大きな役割を果たすことができるようです。
特別支援学級。お家の方からの動画を見て少し照れる様子も。ICT活用の実態
菰田小学校では、授業内での日常的なICTツールの活用に加え、企業とも連携して子どもたちの学びを広げています。
企業との連携(1)株式会社e-sia
株式会社e-siaが提供するV-codeを使い、4年生から6年生までのプログラミング学習に取り入れています。教育版マインクラフトが活用されていて、プログラミングのテキストの画面と、マインクラフトの画面を同時に見ながら学習していくことができるとのこと。子どもたちはプログラミング学習への意欲が高く、昨年度、今年度と続けて学習している6年生は特に、課題の量が増えたり難しくなったりしても解決できる子が多かったといいます。ツール自体にも慣れていることで、よりスムーズにプログラミング学習に取り組むことができているのかもしれません。
企業との連携(2)プランプラン株式会社
また、プランプラン株式会社のキャリア・パスポートも全校で活用されています。2022年9月から利用を開始して、全校のキャリア・パスポートをデジタルに置き換えました。低学年は手書きしたものをICT支援員の方が代理入力する形でデータを残し、その他の学年は自分で入力をしています。印刷して記入、回収、保管とそれぞれの作業に各先生の手間がかかっていましたが、電子化されたおかげで、紙やファイルを気にすることがなくなったそうです。また、年度末に全校の分をPDF出力して印刷しファイルにとじるような運用ができるようになり、キャリア教育を担当されている先生の業務負担が軽くなったとのこと。毎時間の学習だけでなく、こういった面でもICTツールの活用が進んでいます。
日常的なICT活用が生む成果
地域の方が生けてくださったというお花が校内にいくつも。
研究発表会では、どの学級の学習でも、日常的にICTが活用されていることが伝わってきました。日頃子どもたちと関わる先生方が、ツールの使い方を学び、実際に子どもたちとともに活用することで、学び方が変わっているのだと感じます。子どもたちのために学び実践し続ける先生方の姿は、子どもたちにとって魅力的な大人の姿として映るのではないでしょうか。菰田小学校のような取り組みが広がれば、さらに多くの子どもたちの学びが変わっていくのかもしれません。
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