発達障害に対する「療育」とは:内容や相談先の例を紹介
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発達障害の子どもたちや、生活に困難を抱える子どもたちへの支援として「療育」という言葉が少しずつ増えてきています。今回は、「発達障害の子の療育が全部わかる本」を参考に、発達障害に対する療育についてご紹介します。

療育とは:治療と教育をあわせた言葉

「療育」は、肢体不自由の子どもたちの治療や教育を行っていた高木憲次博士が提唱した概念です。

高木の定義による「療育」を要約すれば、「不自由な身体を出来るだけ克服し、『肢体の復活能力』そのものを出来るだけ有効に活用させ、以て自活の途を立つように育成すること」とされ、その内容となるものが治療・教育・職能付与であり、いわゆるリハビリテーションと同義と考えられる。

「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2012年4月号時代を読む30-高木憲次と肢体不自由児療育事業 より引用

 

現在では、肢体不自由に限らず、生活に困難を抱える子どもたちを対象に「療育」という言葉が使われています。

療育は、その子に必要なことを、その子に合った方法で教える

発達障害のある子どもたちは、それぞれが持っている特性によって、生活に困難が発生することがあります。例えば、感覚が過敏な子の場合は、生活の中で不快に感じられることが多く、落ち着けない状態になってしまいます。「落ち着けない」のは感覚が過敏であるその子の力ではどうしようもない困難です。

療育では、そういった困難を軽減するために、

  • 発達障害のある子を理解する
  • その理解をもとに、その子に必要な対応を、その子に適した方法で教える
  • ということを行っていきます。

    療育を受けられる場所は

    療育は、発達障害の診断を受けていなくても、療育を受ける必要があると判断されれば受けることができます。
    療育を受ける方法としては、通って療育を受けるケースが最も多いケースです。
    通うことができるのは、

  • 医療機関
  • 児童発達支援センター(福祉型)
  • 児童発達支援事業所
  • 放課後等デイサービス
  • などです。

    医療機関は、診断名があり、医師から療育の指示がある場合に対象となります。また、児童発達支援センター(福祉型)、児童発達支援事業所は就学前の子どもたちが対象です。放課後等デイサービスは小学校1年生〜18歳まで通うことができます。

    療育で実際に行われることとは

    療育を行うセラピストとは

    療育は、その子に必要な対応を、その子に適した方法で教えることなので、子どもたち一人ひとりによって別々です。療育を行う時間は「臨床」や「セラピー」と呼ばれ、療育を行う専門職の方々はセラピストと呼ばれます。セラピストには、

  • 医師
  • 公認心理師
  • 臨床心理士
  • 作業療法士
  • 言語聴覚士
  • などの専門職の方々がいます。

    セラピーの種類

    セラピーのなかにも種類があります。

  • 作業療法
  • 言語療法
  • 感覚統合療法
  • 音楽療法
  • ビジョントレーニング
  • 認知行動療法
  • などが挙げられます。

    例えば言語療法は言語聴覚士が行うもので、遊びの中でコミュニケーションを取り、言葉の発達を促します。また、ビジョントレーニングでは、目を動かす力や、ものの位置や向きを認識する力を鍛えます。認知行動療法は、不安障害やうつ病の治療に用いられているものと同じで、不安や怒り、恐れなどの感情からくる行動への対処を行います。

    療育を受けたいときの相談先とは

    療育を受けたいと思ったときや、療育が必要なのか検討したいと思ったとき、様々な場所に相談することができます。
    まずは、医療機関を受診することができます。しかし実際に診察を受けるまで長い時間がかかるケースもあります。その他の相談先として、各自治体にある子ども支援センターや、保健センターの保健師、療育機関などがあります。医療機関を受診するのは抵抗があるという場合なども、まずは他の機関に相談することから始めることができます。

    一人ひとりにあった療育が必要な子に届くように

    今回は療育についてご紹介しました。療育は、一人ひとりの子がもつ特性と、それが生み出す困難を軽減するために行われる支援です。今回参考にした書籍「発達障害の子の療育が全部わかる本」には、ほかにも療育を受ける際の経済的支援や保険、関連する法令などが紹介されています。療育についてもっと深く知りたいという方はぜひ参考にしてみてください。

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