持続可能な社会の創り手を育む「ESD」とは?SDGsとどんな関係?
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SDGsは「持続可能な開発目標」として17の目標が掲げられ、2030年に向けて様々な取り組みが行われています。SDGsは学校教育でも取り入れられていますが、「持続可能な社会」のための教育は「ESD:Education for Sustainable Development(持続可能な開発のための教育)」といって、2002年から提唱されていました。今回は改めてESDについてご紹介します。

ESDとは?実は日本が発祥?

ESDはEducation for Sustainable Developmentの略です。これは、2002年の持続可能な開発に関する世界首脳会議で日本が提唱したもので、ユネスコが主導して国際的に取り組まれてきています。世界中で起きている気候変動や生物の絶滅の問題、資源の枯渇や貧困の拡大など様々な問題を、自分達に関わる問題であると主体的に捉え、身近なところから取り組むことで、持続可能な社会を実現することを目指して行う学習や教育活動をESDと呼んでいます。

ESDで目指されるゴールとは?

ESDで目指されていることは「持続可能な社会づくりに関わる課題を見いだし、それらを解決するために必要な能力や態度を身に付けること」です。それを通して、持続可能な社会の形成者としてふさわしい資質や価値観を養うことができると考えられています。

「持続可能な社会づくり」の構成概念としては、

  • 多様性
  • 相互性
  • 有限性
  • 公平性
  • 連携性
  • 責任性

が挙げられています。

また、ここで言われる「必要な能力や態度」とは、

  • 批判的に考える力
  • 未来像を予測して計画を立てる力
  • 多面的・総合的に考える力
  • コミュニケーションを行う力
  • 他者と協力する力
  • つながりを尊重する態度
  • 進んで参加する態度

が挙げられています。

ESDとSDGsの関係とは?


画像:ユネスコ「ESD for 2030ロードマップ」P12より

 

近年、SDGsが様々な場面でも取り入れられています。SDGsは2015年に採択されたものですが、ESDはSDGsの目標4のターゲット4.7に位置付けられています。

目標4
質の高い教育をみんなに

 

ターゲット4.7
2030年までに、教育を受けるすべての人が、持続可能な社会をつくっていくために必要な知識や技術を身につけられるようにする。そのために、たとえば、持続可能な社会をつくるための教育や、持続可能な生活のしかた、人権や男女の平等、平和や暴力を使わないこと、世界市民としての意識、さまざまな文化があることなどを理解できる教育をすすめる。

ESD大賞の募集が9/1から開始!過去の事例や資料も公開

NPO法人日本持続発展教育推進フォーラムでは、毎年「ESD大賞」を決定しています。今年の募集は9月1日から開始しています。
昨年度は、渋谷教育学園渋谷中学高等学校が、国際交流イベントの取り組みで文部科学大臣賞を受賞しています。また、宮城県の気仙沼市立鹿折小学校が地元の海に関する学びを中心にした実践でユネスコスクール最優秀賞を受賞しています。
そのほかにも行われた様々な実践が紹介されています。ESDを推進するために活用できる資料は、NPO法人日本持続発展教育推進フォーラムのESDライブラリに掲載されています。また、文部科学省でもESDを説明するストーリーブックとして「ESD QUEST」が公開されています。

教科指導の中にESD的な視点を取り入れてみては

ESDもSDGsも、新たな教育内容が増えるわけではなく、物事を見る視点を子どもたちに与えるところから始まります。教科指導の中で少しずつ取り入れてみてはいかがでしょうか。

参考資料:
持続可能な開発のための教育(ESD:Education for Sustainable Development)
持続可能な開発のための教育(ESD)推進の手引(令和3年5月改訂)
ESD QUEST
ESD for 2030ロードマップ
NPO法人日本持続発展教育推進フォーラム

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