学校の先生向け!時間があるときに読みたいおすすめ書籍:後編
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夏休みに入り、いつもより自分の時間が取りやすくなる先生も多いと思います。そんなときこそ、読書で情報のインプットにトライしてみてはいかがでしょうか。前回に続き、教育に特化したものから範囲を広げたものまでご紹介します。

子どもたちの心を動かす原則「AさせたいならBと言え」

タイトル:AさせたいならBと言え
著者:岩下修

初版は1988年、教育界のロングセラーと言われています。子どもたちへの指示を、「そのためにはどうするか」を考えて言葉を選んで出していくことが書かれています。例えば、子どもたちに自分の方を見てほしいとき、「おへそをこちらに向けてください」という言い方をすることがあります。これも、おへそを向ければ、その方向に顔も向くから、結果として目的が達成されている「AさせたいならBと言え」の例です。
そのほかにも具体的な指導のシーンが多く示されていて、実践したくなるものばかりです。自分がさせたい「A」をどんな「B」に変えたらいいか考えたくなります。

AさせたいならBと言え
イラスト図解 AさせたいならBと言え

全ての仕事に手を付ける前に「さる先生の『全部やろうはバカやろう』」

タイトル:さる先生の『全部やろうはバカやろう』
著者:坂本良晶

学校の仕事はどんどん増えています。子どもたちのためを思うと手を抜けず、本当に多くの業務にへとへとになってしまっている先生もいらっしゃるのではないでしょうか。でも、ちょっと立ち止まって、どれが本当に大事な仕事なのか見つめ直すことも必要かもしれません。本書は、教員の仕事自体を見直し、時短術を使い、業務改善を自分で行うための1冊です。SNSで情報発信をされている坂本良晶先生(さる先生)の著書、要チェックです。

さる先生の「全部やろうはバカやろう」

褒めるも叱るもダメ?「嫌われる勇気」

タイトル:嫌われる勇気
著者:岸見一郎/古賀史健

アドラー心理学について、青年と哲学者の対話の形でまとめられています。アドラー心理学の目的論的な考え方や、勇気づけ、課題の分離、共同体感覚などは、学級経営で活かせる視点になるでしょう。実際、アドラー心理学を生かした学級経営に関する本もそのほかに多数出版されています。嫌われる勇気の続編「幸せになる勇気」も役立ちます。

嫌われる勇気

子どもを取り巻く環境が格差に「『つながり格差』が学力格差を生む」

タイトル:「つながり格差」が学力格差を生む
著者:志水宏吉

学力の格差が生まれる原因とは何かと問われ、答えられるでしょうか。2007年に行われた全国学力・学習状況調査の結果、秋田県が1位になったことに著者がおどろいたことをきっかけに、子どもたちの「つながり」の豊かさが、学力につながるという仮説が立てられています。その仮説の検証が本書でなされています。この説が絶対に正しいか、はわかりませんが、多くの教育研究などが抜粋され、体系的にまとまっているため、学力や格差について改めて考えるきっかけになりそうです。

「つながり格差」が学力差を生む

解るということは…「自分のなかに歴史をよむ」

タイトル:自分のなかに歴史をよむ
著者:阿部謹也


西洋の歴史の研究家である著者が、どのように研究の道を歩んできたかが語られている本書。元は中高生向けに書かれているため、語り口が優しく読みやすくなっています。「解るということはそれによって自分が変わるということでしょう」という恩師からの言葉が出てきますが、子どもたちはこの感覚を日々経験しているのではないでしょうか。小学6年生からは歴史が出てきますが、歴史を教える側としても知っておきたいものの見方を学ぶことができるでしょう。

自分のなかに歴史をよむ

読書の夏!?先生こそ読みたい本がたくさん

前回、今回と続けて本の紹介をしてきました。教育関連から少し幅を広げて、実用的な本を上げています。情報収集を目的とするわけではなく、リフレッシュのためであれば、ここで取り上げた実用書以外に小説などに触れるのもいいですね。ぜひさまざまな本を手に取ってみてください。

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