キャリア教育の事例〜キャリアパスポートを活用して「キャリアデザイン力」に注力する長野県の例
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キャリア教育は小学校から行なわれ、社会的・職業的自立に向けた資質・能力を育むことを目的とされています。活動の見通しを立て、振り返る活動を繰り返し行うことが重要であるとされていますが、その活動を記録していくのがキャリアパスポートです。今回は、長野県の例についてご紹介します。

長野県の学校教育について

長野県には、国公立の小学校が355校、中学校が182校、高校が97校あります。公立小学校の中には、長年通知表がない伊那市立伊那小学校など独自の教育をおこなっている学校もあります。また、私立の学校でも、イエナプランを導入している学校法人茂来学園大日向小学校・大日向中学校や、義務教育学校である軽井沢風越学園などがあり、長野県に教育移住をする家庭もあるようです。

「キャリアデザイン力」に注力する長野県

2020年3月に改訂された「長野県キャリア教育ガイドライン」で、長野県のキャリア教育について以下のように述べられています。

 

生涯にわたるキャリア形成に必要な資質・能力とは、社会的・職業的な自立のなめに基盤となる能力や態度を含む、「自分の人生を構想する『キャリアデザイン力』」です。これを養うためには、学校教育にとどまらず、社会(県民)が一体となってキャリア教育を推進していくことが必要であり、幼保・小・中・高および特別支援学校の各発達段階において必要な教育を「自己理解」「他者理解」「役割理解」の視点から、関係機関が連携をとりながら体系的・系統的に取り組むことが求められています。

 

長野県では、「キャリアデザイン力」を重視していることがわかります。キャリアデザイン力は、「キャリアプランニング能力をベースに、1度しかない自分の人生について職業を通してどう社会と関わり、どう生きていきたいのかを、構想し続けていく力」としています。

そのための方針として
①幼児期から「縦」のつながりを意識し、切れ目なく子どものキャリア形成を支える
②地域家庭との「横」の連携を強め、社会全体で子どもの学びの機会を支える

などが挙げられています。

「キャリアデザイン力育成」のための手立て|「縦」のつながりを意識したキャリアパスポートの活用

冒頭で説明したように、キャリア・パスポートは子ども達が「見通しを立て、振り返る」活動について記録していくものです。長野県では、国の様式例を活用したり、県の様式例を参考にしつつ、地域や学校の実態に応じ、柔軟に工夫することが推奨されています。

県様式例の活用については以下のように例が記載されています。

 

【県様式例1の活用(例)】
①年度はじめに「なりたい自分」について考え、記入する時間を取る。
②学年末に児童生徒が次のような活動に取り組める時間を取る。
 ・「日記」「各教科の振り返り」等を読み返し、出来事を振り返る。
 ・印象に残った出来事を3〜4つほど選ぶ
 ・選んだ出来事を印象に残った順に上から並べる。
 ・出来事に関わった写真(出会った人、読んだ本、使った道具等)をシートに取り込む
 ・教師、家族等関わった人に簡単なコメントを記入してもらう。

 

【県様式例2の活用(例)】
①年度はじめに「これまでの自分」を振り返りながら「なりたい自分」について記入する。
②同じ問いに対する過去の自分の記述を振り返りながら、これからの自分を見通し記述する。
③記述をもとに級友と語り合い、自己理解、他者理解を深めていく。

「横」のつながりを意識した学校と地域・社会の連携

「横」のつながりとして、長野県の市町村教育委員会やキャリア教育支援協議会を中心に、キャリア教育をより深めるようにしています。
ふるさと学習や職場見学などの体験学習をコーディネートしたり、学校間や異校種間での連携を実施したりするなどが具体例として挙げられています。
また、長野県教育委員会のなかに設置される「長野県キャリア教育支援センター」が、各市町村と連携し、県全体のキャリア教育の進展を図ることとしています。

長野県のキャリア教育の事例

長野県のキャリア教育の事例については、教育委員会のページで紹介されています。
長野県キャリア教育実践事例集〈小中学校編〉

また、北陸三県の例でも紹介した「EduTownあしたね」の長野県版も行われていました。
EduTownあしたね長野県版

各市町村でもキャリア教育が工夫されていて、地元企業との連携などが積極的に行われています。

【キャリア教育実施支援事業】上田地域の素晴らしい企業やそこで働く人を地元中学生に知ってもらいたい!

地育力を活用した「飯田型キャリア教育

キャリア・パスポートを活かして充実したキャリア教育を

今回は長野県のキャリア教育についてご紹介しました。キャリア教育を実施する時に「縦」のつながりの中で活用するツールとして、キャリア・パスポートが位置付けられていました。また、「横」のつながりとして、地域ごとにもさまざまな取り組みが行われていることがわかりました。広い県だからこそ、縦と横が強く意識された取り組みになっているのかもしれません。

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