文部科学省小学校キャリア教育の手引き2022年改訂版のポイントをわかりやすく解説
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先月、文部科学省から新たに「小学校キャリア教育の手引きー小学校学習指導要領(平成 29 年告示)準拠ー」が発行されました。現行の学習指導要領に合わせてキャリア教育について体系的に説明されています。今回はその中から、「第1章 キャリア教育とは何か」から「第6節 平成29・30年告示の学習指導要領におけるキャリア教育」について、1ページにまとめて解説します。

「キャリア教育の手引き」とは

文部科学省から出されている「キャリア教育の手引き」は2011年に出されていましたが、2017(平成29)年に学習指導要領が改訂されてからも更新されていませんでした。2017年の学習指導要領改訂はかなり大きな変更があり、キャリア教育についても新たに言及された部分も多くありました。そういった部分について、まとめて解説されたものはありませんでした。
しかし今回、2022年3月版として、現行の学習指導要領に準拠した「キャリア教育の手引き」が公開されました。「第1章 キャリア教育とは何か」の中に「第6節 平成29・30年告示の学習指導要領におけるキャリア教育」が設けられました。今回の改訂の肝でもあるこの節についてまとめました。

ポイント1:学習指導要領総則でキャリア教育が明示された

平成29・30年告示の学習指導要領(以下、現行の学習指導要領)では、「総則」の中にキャリア教育が明示されました。
「総則」に書かれているため、特定の教科や科目で扱うことではなく、教育課程全体に係るものであるということがわかります。

(小学校)第1章総則 第4児童の発達の支援 1児童の発達を支える指導の充実
(3)児童が,学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら,社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力を身に付けていくことができるよう,特別活動を要としつつ各教科等の特質に応じて,キャリア教育の充実を図ること。

 

(中学校)第1章総則 第4生徒の発達の支援 1生徒の発達を支える指導の充実
(3)生徒が,学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら,社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力を身に付けていくことができるよう,特別活動を要としつつ各教科等の特質に応じて,キャリア教育の充実を図ること。その中で,生徒が自らの生き方を考え主体的に進路を選択することができるよう,学校の教育活動全体を通じ,組織的かつ計画的な進路指導を行うこと。

 

(高等学校)第1章総則 第5款 生徒の発達の支援 1生徒の発達を支える指導の充実
(3)生徒が,学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら,社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力を身に付けていくことができるよう,特別活動を要としつつ各教科・科目等の特質に応じて,キャリア教育の充実を図ること。その中で,生徒が自己の在り方生き方を考え主体的に進路を選択することができるよう,学校の教育活動全体を通じ,組織的かつ計画的な進路指導を行うこと。

ポイント2:キャリア教育の中核となる時間は「特別活動」

上述の通り、キャリア教育は教育課程全体に関わるものです。それは以前から同じように述べられていました。しかし、「教育活動の全体」というと、指導する時間があいまいになるだけでなく、中学校・高校では進路指導などに取って代わられてしまったり、小学校では体系的に実施されなかったりすることもありました。
そこで、キャリア教育については「特別活動を要としつつ」という文言が加えられ、注力するべき時間として明示されました。
また、小中学校の学級活動、高校のホームルーム活動に「(3)一人一人のキャリア形成と自己実現」という項目が設けられ、どの校種でもキャリア教育が行われるように変わりました。

ポイント3:キャリア教育の中核となる活動は2つ!見通しと振り返り

特別活動を要としつつ行われるキャリア教育、その活動のポイントは「見通しを立て、振り返る」ことです。
学ぶことに興味をもち、見通しを持って学習に取り組み、振り返って次に繋げるという子どもの姿は、主体的に学ぶ子どもの姿に他なりません。そして、その過程を蓄積していくことで、学びとキャリア形成を関連づけていくことができます。そのため、子どもたちが自分の活動を記録し、蓄積する教材を活用することが必要とされます。

ポイント4:「見通しと振り返り」を記録する教材=キャリア・パスポート

見通しを立て、振り返る活動を記録するツールとして「キャリア・パスポート」が考案されました。
活動の全てを記録していくのは難しいため、キャリア・パスポートは学期や学年など中長期的な振り返りを行うための資料として作成することが想定されています。また、学校内外問わず学びを記録していくこと、学年・校種を超えて持ち上がっていくものであることなどが条件として挙げられています。
キャリア・パスポートをツールとして活用し、「見通しを立て、振り返る」活動を行う目標は、教育基本法の目標の中の一つ「一人一人の児童が、自分のよさや可能性を認識する」ということです。

まとめ:現行の学習指導要領でのキャリア教育は中長期的な「見通しと振り返り」の繰り返し

現行の学習指導要領でのキャリア教育は、特別活動を要として教育課程全体で行われていきます。教育活動の中核は「見通しを立てて、振り返る」ことです。それらを記録していくのが「キャリア・パスポート」です。このツールをうまく活用することで、子どもたちが長期的に自分のキャリア形成をしていくことが可能になるとされています。
すでに現行の学習指導要領が実施されているため、ここで述べられているようなことをすでに実施されている先生もいらっしゃるでしょう。改めて実施されている学びについて整理するヒントにしていただければ幸いです。

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