キャリア教育は小学校でも行われています。中学校とは違い、小学校のキャリア教育のねらいはあいまいになりがちかもしれません。特に小学校低学年は、小学校に入ったばかりです。「キャリア」や「職業」「仕事」などの言葉はまだ難しいでしょう。小学校低学年の子どもたちにはどのようにキャリア教育の指導を行えばよいのでしょうか。文部科学省の資料をもとに、具体的な「ねらい」の例からご紹介します。
目次
小学校低学年のキャリア教育の目標
好きなこといっぱい できることいっぱい 学校って楽しいな
低学年では、自分の好きなこと、得意なこと、できることを増やし、様々な活動への興味・関心を高めながら意欲と自信を持って活動できるようにすることが大切です。
引用元:文部科学省 低学年の発達課題と実践のポイント(その1)
小学校低学年では、日常生活や各教科、道徳、特別活動の時間の中で、以下のキャリア発達課題に対応していくことが目指されます。
①小学校生活に適応すること
②身の回りの事象への関心を高めること
③自分の好きなことを見つけて、のびのびと活動すること
このようなキャリア発達課題に対応していくことが、小学校低学年のキャリア教育と言えるでしょう。では、実際に指導にあたるとき、先生方はどういったねらいを設定すればよいのでしょうか。
キャリア発達課題①小学校生活に適応するために
小学校に入学したばかりの子どもたちは、「小1プロブレム」などに直面する可能性もあります。期待を持って小学校に入学してきても、学校生活で初めて経験することに対応するのが難しい子がいます。誰もが小学校の生活を楽しんで過ごすことができるよう、幼小連携や、合科的指導などを計画的に行うことが必要となります。
また、小学校低学年の時期には、返事やあいさつをすること、自分の気持ちを伝えること、時間やきまりを守ることなど、基本的な生活習慣を身につけることが重要です。このような目標に照らし合わせ、以下のようなねらいを設定することができます。
●返事やあいさつをする。
●決められた時間や約束を守る。
●してよいことと悪いことがあることが分かる。
●ありがとうやごめんなさいが言える。
●自分の気持ちや意見を伝える。
●係や当番の仕事に取り組み、その大切さが分かる。
●作業の準備や片づけをする。
引用元:文部科学省 低学年の発達課題と実践のポイント(その1)
これらのねらいは、一つの授業で完結するものではなく、日常生活の時間も含めて繰り返し指導する必要があります。
キャリア発達課題②身の回りの事象への関心を高めるために
子どもたちの関心は、自分にとって一番近い「家庭」から広がっていきます。それから、友達や学級、上学年のお兄さんお姉さんたち、先生など徐々に広がっていきます。それから、学校、通学路、地域……とかかわりを広げていきます。さまざまな活動を通して、身近な人々と関わる楽しさを、子どもたちが味わえるように計画していくことが大切です。
また、人との関わりの中で、役割をつとめることも重要です。家庭の中での役割の分担や、学級での係活動など、自分が役割を果たすことの価値を学ぶこともキャリア教育の一環になります。生活科や、道徳、学級活動などの単元で実践していくことができるでしょう。
●友達の気持ちを考える。
●身近な人々の生活に関心をもち、積極的にかかわる。
●身近で働く人の様子が分かり、興味・関心をもつ。
●係活動や家での仕事などを通して、自分の役割の大切さが分かる。
●自分の生活を支えている身の回りの人に感謝する。
●お世話になった人々に感謝する。
引用元:文部科学省 低学年の発達課題と実践のポイント(その1)
キャリア発達課題③自分の好きなことを見つけて,のびのびと活動するために
小学校低学年の子どもたちは、好奇心旺盛で、なんでもやってみたい時期です。たくさんの体験活動を行い、できるようになったことをたくさん見つけて、自信を持って活動する楽しさを味わえるようにしたいところです。
道徳の学習や、日常生活で、以下のようなねらいを設定することができます。
●自分の好きなことが言える。
●自分の好きなもの、大切なものをもつ。
●自分のよいところを見付け、自信をもつ。
●みんな仲良く学習したり遊んだりする。
引用元:文部科学省 低学年の発達課題と実践のポイント(その1)
適切なねらいを設定して、キャリア教育につながる指導を!
小学校低学年のキャリア発達課題に合わせて、ねらいの具体例を紹介してきました。これらは文部科学省のキャリア教育の手引きで紹介されています。
生活科、特別の教科道徳、学級活動などに活用できる指導案の例なども掲載されているので、さらに詳しく知りたい学びたい場合はそちらも参照してください。
参考資料:小学校キャリア教育の手引き(改訂版)
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