教員不足の対策になるか?教員資格認定試験とは?
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全国で教員不足の問題が浮き彫りになっています。以前の記事で紹介した「Shool Voice Project」による提言などもあり、政府の教育改革の中に「教員不足解消」が追記されることになりました。また、文部科学省は、緊急の通知として、特別免許状や臨時免許状を活用するように各都道府県の教育委員会に依頼しています。しかし、特別免許状や臨時免許状はどちらも期限や地域が限定される教員免許であり、長期的な課題解決になるかは不透明です。だからといって、教員免許を取得するために大学の通信課程を受講することになると、教壇に立つまでに早くても2年かかってしまいます。
そんな時に活用できる「教員資格認定試験」という試験があるのをご存知ですか。あまり知られていませんが、試験に合格すれば、教員免許が取得できる制度です。今回はこの制度について詳しくご紹介します。

教員資格認定試験とは?どんな免許が取れる?

教員資格認定試験は、文部科学省が開催している試験です。大学で教員養成の課程を修めたかどうかにかかわらず、教員として必要な資質・能力を有すると認めた人材に、教員への道を開くことを目的としています。
試験自体の運営は、独立行政法人教職員支援機構が実施しています。
文部科学省 教員資格認定試験
教職員支援機構 教員資格認定試験

この試験は3種類に分かれており、試験と取得できる資格は以下のようになっています。

試験の種類 取得できる資格
幼稚園教員資格認定試験 幼稚園教諭二種免許状
小学校教員資格認定試験 小学校二種教員免許状
特別支援学校教員資格認定試験 特別支援学校自立活動教諭一種免許状(聴覚障害教育)

特別支援学校自立活動教諭一種免許状(肢体不自由教育)

ただし、2022年度に実施される試験から、特別支援学校教員資格認定試験は昨年度の試験を受験していることなどの一定の条件が必要で、2024年度以降は当面休止することが通知されています。

参考:文部科学省 令和4年度以降からの特別支援学校(自立活動)教員資格認定試験について

教員資格認定試験の受験資格は

幼稚園教員資格認定試験は、幼稚園と保育園の連携を一層促進するために実施されているため、受験資格の中に、保育士の資格を取得していることが含まれます。
さらに、幼稚園や幼保連携型認定こども園、児童養護施設等で一定期間以上勤務していることも受験資格に含まれます。そのため、この試験を受験することができる人はある程度限られてしまいます。

他方、小学校教員資格認定試験は、高校を卒業し、大学や短大等への入学資格を持つ者という指定がありますが、そのほかの資格や業務経験は問われません。教員を志す方が受験しやすい試験となっています。
教員不足にフォーカスして、小学校教員資格認定試験について詳しく説明していきます。

小学校教員資格認定試験の内容!どんな試験?

小学校教員資格認定試験は、1次試験と2次試験に分かれています
1次試験では、教科及び教職に関する科目の(Ⅰ)〜(Ⅳ)が実施されます。主に教職の専門科目に関わるものや、小学校での指導教科の内容や指導方法などが問われます。
2次試験では、教職への理解及び意欲,小学校教員として必要な実践的指導力に関する事項の試験が実施されます。指導案の作成やグループ討議などが予定されています。
教職に関する知識全般から出題されることになっており、合格するためには広範囲の知識を身につける必要があります。

小学校資格認定試験は過去問が公開されている!

かなり広い範囲から試験は出題されますが、教職員支援機構のサイトの中で、過去の問題が掲載されています。
細かく見ていくと、

  • 教育史・教育心理学
  • 教育に関わる法律
  • 学習指導要領解説の内容

などについて出題されています。
過去問を分析することで、対策を実施できそうです。

教員資格認定試験は教員不足の解決の糸口になるか?

教員資格認定試験の仕組みについて説明してきました。教員不足が叫ばれる今、この試験は状況を改善するための一手になるのでしょうか。実は、教員資格認定試験は、2020年から仕組みが変わっています。以前は1次試験が2日間に渡り、2次試験では実技教科の実技試験も実施されるなど、受験者の負担も大きいものでした。しかし、2020年からは、上記のように比較的シンプルな試験に変更されています。受験しやすくすることで、教員を志す人への門戸を広げようとしていることが伝わってきます。すぐに教員の人数が増えるわけではありませんが、教員不足を解消するための一つの策として、教員資格認定試験をさらに広めていくことは有効なのではないでしょうか。

参考
教職員支援機構 教員資格認定試験

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