キャリア・パスポートがもたらす教育的効果とは?国立教育政策研究所レポートから#1
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キャリア・パスポートは、2020年4月から全国の小中学校や高校で導入され、実践が進んでいます。全国での本格導入が始まる以前の2019年7月~10月に、キャリア教育に関する調査が実施されています。この調査は、国立教育政策研究所が実施したキャリア教育に関する研究のためのものです。全国に先立ってキャリア・パスポートを運用したり、キャリア教育に力を入れて実施したりしている学校では、どのような教育的効果が挙げられていたのでしょうか。

研究の目的や内容は?

キャリア教育に関する自実態を把握し、キャリア教育の改善・充実を図るための資料を得ることを目的として実施されている調査です。7年ごとに行われています。今回の研究で報告された調査は、新型コロナウイルス感染症が拡大する前の2019年7月~10月に行われています。
各都道府県、政令指定都市から2校ずつ抽出された小学校、中学校、高等学校に依頼して調査は実施されました。

小学校におけるキャリア・パスポートによるカリキュラムマネジメントの効果

調査が実施された時期は、全国で一斉にキャリア・パスポートが開始される前の段階です。この時点で、キャリア・パスポートを作成している小学校は全体の約25%、中学校は全体の約45%となっていました。学級の担任の先生がカリキュラム・マネジメントの視点をもって、キャリア教育の計画し、それに基づいて実施しているかどうかで、さまざまな違いが表れていました。

キャリア教育の取り組みのPDCAを回せるようになる

キャリア・パスポートの作成を行っている学校では、カリキュラム・マネジメントへの意識も高く、「キャリア教育の取組に対して評価を行っている」「キャリア教育の評価結果に基づいて取組の改善を行っている」という項目が、キャリア・パスポートを作成していない学校と比較して、10ポイント以上上回っていました。したがって、キャリア・パスポートは、子どもたちが自分自身の成長を実感したり、キャリア観を育成したりするだけではなく、学校全体のキャリア教育の取組自体をよくするために機能していると言えるでしょう。

キャリア教育の計画・実行が、子どもたちの学習意欲を高めることに結びつく

また、キャリア教育の計画を作成し、実施している担任の先生の学級と、そうでない学級では、前者の学校の方が子どもたちの学習意欲が高くなっているという結果も出ています。「授業に主体的に取り組んでいる」は10.5ポイント、「学校が楽しい」は8.4ポイント、「これからもっとたくさんのことを学びたいと思う」は7.2ポイントの差が見られます。
キャリア・パスポートを実施するためにはキャリア教育の計画が必要です。その計画に基づいて実施していくことで、結果的に子どもたちの学習意欲が高まると言えるでしょう。

キャリア教育の計画・実行が、子どもたちの人間関係形成・社会形成能力まで高める

前項目と同様に、キャリア教育の計画を作成し、実施している担任の先生の学級と、そうでない学級では、子どもたちの人間関係形成・社会形成能力及び自己理解・自己管理能力の発達に差が見られたといいます。「自分の考えを話すときは、相手が理解しやすいように伝えている」「誰かの話を聞くときは、その人の考えを受け止めようとしている」「苦手なことをしないといけない時でも、進んで取り組んでいる」などの設問に対し、いつもそうしていると答えた児童の割合が高いのは、いずれもキャリア教育の計画を作成、実行している先生の学級でした。

キャリア教育こそカリキュラム・マネジメントが必要!

キャリア・パスポートを活用するためには、キャリア教育の計画が必要です。計画に沿ってキャリア教育を実施していくことで、学校全体のキャリア教育の質も上がり、子どもたちの学習意欲も上がるという結果が出ており、よい影響ばかりです。キャリア・パスポートの取り組みはすでに実施することになっていますが、キャリア教育の計画ときちんと連動して実施することができるよう、カリキュラム・マネジメントの視点をもって指導計画を確認みてはいかがでしょうか。

参考:
国立教育政策研究所 生徒指導・進路指導研究センター
キャリア教育に関する総合的研究第二次報告書
PDF資料はこちら

 

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