学校の先生へ!ChatGPTをはじめとする生成AIの活用術#4
Pocket

生成AIツールの代表格であるChatGPTのサービスがリリースされてまもなく1年です。子どもが宿題に使うのではないか、事実と異なる情報が生成されるのではないか、など批判的な捉え方もありましたが、今では多くのツールに生成AIが搭載され、一般的になってきています。
小学校、中学校、高校の先生も、いきなり授業で使うのは難しいとしても、職員室で業務改善のために使うことはできるでしょう。プランプランは、学校の先生方向けに、ChatGPTなどの生成AIツールを業務改善の観点で使えるシーンを計4回の連載でご紹介します。

こんなことありませんか?学校現場でちょっと手間なアレコレ

学校現場で働いていると、児童生徒のためを思ってやること、学校全体のために行う業務など、先生の仕事は多岐に渡ります。
その中で、ちょっと時間がかかってしまうような作業もあるのではないでしょうか。
例えば、

  • ちょうどいい挿絵がなく、イラストや写真を探したい
  • 保護者へのお便りの文面がなかなか書けない
  • 学習活動の案をもうひとひねりしたいけど、案が思いつかない
  • 個別指導をしたいけれど間に合わない

など。
こういった面は、ChatGPTをはじめとする生成AIで解決できるかもしれません。最後の第4回は、個別指導をしたいけれど間に合わないという場面の活用方法をお伝えします。

生成AIを自分の分身として使う

子どもたち一人ひとりに声をかけ、相談に乗りながら学習活動を進めたいときなどがあっても、授業内や学校にいる時間には対応しきれないことがあるかもしれません。作文や日記などの文章を書くのに、テーマをどう決めていいか迷ってしまい、手が止まって時間が過ぎてしまう子もいますし、先生にとっても、その子自身にとっても時間がもったいないですよね。
そんなときは、生成AIを「自分の分身」として活用してみてはいかがでしょうか。

話題になった「家庭教師プロンプト」の真似をする

以前、漫画家のうめさんが、作文の宿題が進まない様子だったお子さんのために作成した「作文を手伝うAI家庭教師プロンプト」がSNSで話題になりました。
現在、ご自身のnoteのページでプロンプトを公開されています。


こちらのプロンプトをChatGPT(GPT-4)で実行し、テーマになりそうなことを答えると
「その日はどんなイベントがありましたか?」
「どんな活動でしたか?」
「その活動をしているとき、あなたはどんな気持ちでしたか?」
など、具体的な描写や気持ちを言葉にさせるための質問をいくつも投げかけてくれます。また、単に質問を投げるだけではなく、前の言葉をきちんと受け止めて質問してくれます。
実際に先生が子どもたちに話すような言葉が生成AIからも出てきます。どうしても手が止まってしまう子には、AIによる言葉掛けも、思考を進めるのに有効かもしれません。

このプロンプトを改変すれば、AI上に自分を登場させて、子どもたちの指導をすることもできるのではないでしょうか。

自主学習のテーマに悩んでしまう子へ:自学ネタ相談AIロボ

宿題に自主学習を出す学校も多いです。楽しんで取り組む子がいる一方で、何をやったらいいかわからない、いつも同じになってしまう、など困っている子がいるのも事実です。もし学校で、先生に相談しながらできれば、
「今日こんなこと勉強したから、この練習をしてみたら?」
「こんな本読んでたよね、その内容をまとめてみたら?」など、
その子に合った声かけをすることができるかもしれません。
しかし子どもが家で困っていても、先生が手を差しのべるのは難しいですよね。
そんなときも生成AIを先生の分身として活用できます。

プランプランの「自学ネタ相談AIロボ」は、子どもたちが好きなことや興味のあることを質問し、先生の代わりとなって自学の内容を提案します。
例えば、

自学で何をするか迷ってる

というと、

こんにちは!私はAIの先生です!一緒に頑張りましょう!今日の自学のテーマは何にしましょうか?何か特に興味のあることや学びたいことはありますか?

と返ってきます。

車のこと

など関心のあることを短く返信すると、

素晴らしい選択です!車について学ぶのはとても面白いですね!車に関する自学の方法としては、まずは図書館やインターネットで車に関する本や記事を探してみると良いでしょう。車の仕組みや歴史、さまざまな種類の車などについて学ぶことができますよ。また、模型やパズルを使って車の組み立てや解体をすることも楽しい学び方です。さらに、近くの自動車博物館やカーショーに行って実際の車を見学することもおすすめです!どの方法が気に入りましたか?

といろいろな案が返ってきます。

会員登録などは不要で、実際にこの画面から試すことができます↓



また、こちらにアクセスすることで、子どもたちも使うことができます。

ちなみに、「読書感想文を書いて」と頼むと、「どんな本を読んだのですか?」「どのような話ですか?」などと質問が返ってくるようになっています。
先生がアドバイスできない場所・時間での学習については、生成AIに任せてみてはいかがでしょうか。

カスタム指示で自分をChatGPT上に!

ChatGPTには、「カスタム指示」という機能があります。これを活用すると、自分の代わりにChatGPTに知識問題を出してもらい、学習を進めることもできるようになります。

青山学院中等部とスタディサプリで情報Ⅰを教えていらっしゃる安藤昇先生が、ご自身のyoutubeチャンネル「GIGAch」で紹介されている、こちらの動画が参考になります。

ChatGPTのカスタム指示の上の欄に「役割」を入力します。

# 役割 
あなたは戦国時代に詳しい日本史の先生です。戦国時代の重要な出来事を学ぶためのウィザードになってください。

カスタム指示の下段に以下のプロンプトを入力します。

## Steps:

次の1-3をstep by stepで繰り返しながら, 問題のテーマを学習し終えるか、私が「完了」と伝えるまで繰り返します。

  1. あなたはThemeに沿って1問だけ私に問題を出します。
  • 問題形式は次の1-2を交互に出題する。
    1. 4つの選択肢を持つ選択問題
    2. 私があなたに答えとなる説明を記述する問題
  1. 私はその問題の答えをあなたに教えます。
  2. あなたは私の答えを評価し、正解なら次の問題に移動し、不正解ならフィードバックを高校生でもわかるように表示し、同じテーマで1に戻ります。私が問題が理解できていないと推定される場合、問題を高校生でもわかるように改善し出題し直してください。

## Theme:

  • 戦国時代について
  • 織田信長について
  • 徳川家康について
  • 豊臣秀吉(羽柴秀吉)について

すると、ChatGPTがそのまま「歴史の先生」になって問題を出してくれるのです。
選択問題と記述問題が交互に出るようになっていますし、間違えるとまた同じテーマでの問題が出題されたり、と、問題集のように対話することができるのです。
また、上記のプロンプトを2つまとめてそのままChatGPTで実行しても、同じように問題を出力してくれます。

このようにして、自分の分身を生成AIで作り、子どもたちの学びを促進することができるかもしれません。今回ご紹介した方法の一部は、ChatGPTを子どもたちが使うことにもなります。利用規約などにも注意して、適正な範囲で実施するようにしてください。

生成AIを活用するには、思いを言葉にする必要がある!

4回に渡って生成AIの活用方法をご紹介してきました。学校での生成AI活用方法について、イメージが湧いてきましたか?これからの社会は、間違いなくAIとともに成長していきます。であれば、生成AIに早い段階で触れ、慣れ親しんでおくことは子どもたちにとっても必要なことです。また、生成AIを使って「何か」を実現するためには、実現したいことを言葉にする必要があります。そうした思いを持ち、言葉にできる子どもたちを育てることこそが、教育現場に求められることになっていくのではないでしょうか。
プランプランでは、今後も生成AIの活用方法やツールなどについてご紹介していきます。

参考:
AI家庭教師プロンプト|うめ
漫画家であるうめさんの漫画はこちら
GIGA ch

おすすめの記事