キャリア教育というと、職場体験や仕事調べなど、職業に関連することを思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、キャリア教育と職業教育は異なります。定義や育成する力など、どこが違うのか、文部科学省の中央教育審議会の答申をもとに、わかりやすく解説します!
目次
キャリア教育の定義とは
キャリア教育とは
一人一人の社会的・職業的自立に向け,必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して,キャリア発達を促す教育
と定義されています。
中央教育審議会「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について(答申)」(平成23年1月31日)より
キャリアという言葉の定義
そもそも、中央教育審議会の答申では、キャリア教育の文脈における「キャリア」という言葉については、以下のように定義されています。
人は,他者や社会とのかかわりの中で,職業人,家庭人,地域社会の一員等,様々な役割を担いながら生きている。これらの役割は,生涯という時間的な流れの中で変化しつつ積み重なり,つながっていくものである。また,このような役割の中には,所属する集団や組織から与えられたものや日常生活の中で特に意識せず習慣的に行っているものもあるが,人はこれらを含めた様々な役割の関係や価値を自ら判断し,取捨選択や創造を重ねながら取り組んでいる。
人は,このような自分の役割を果たして活動すること,つまり「働くこと」を通して,人や社会にかかわることになり,そのかかわり方の違いが「自分らしい生き方」となっていくものである。
このように,人が,生涯の中で様々な役割を果たす過程で,自らの役割の価値や自分と役割との関係を見いだしていく連なりや積み重ねが,「キャリア」の意味するところである。
中央教育審議会「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について(答申)」(平成23年1月31日)より
「キャリア」は必ずしも仕事や職業に限ったものではなく、家庭の一員、地域の一員などさまざまな場所での人との関わりの中で築かれるものを指しています。
自分の役割を果たして活動すること=「働くこと」とされているのも興味深い点です。
キャリア発達とは何か?
キャリア教育とは、「キャリア発達を促す教育」とありました。「キャリア」は仕事だけに限ったものではなく、さまざまな人との関わりの中で自分の役割を果たし、それを積み重ねていくことでした。では、「キャリア発達」とは何でしょうか。この言葉も、以下のように定義されています。
社会の中で自分の役割を果たしながら,自分らしい生き方を実現していく過程を「キャリア発達」という。
中央教育審議会「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について(答申)」(平成23年1月31日)より
つまり広義の「働くこと」を通して、自分らしい生き方を実現していくことが「キャリア発達」と呼ばれていて、それを促すのがキャリア教育ということです。
キャリア教育で育成する能力:基礎的・汎用的能力
定義の中にあるように、キャリア教育では「必要な基盤となる能力や態度」を育てることにより、キャリア発達を促すとされています。この、「必要な基盤となる能力や態度」は、基礎的・汎用的能力として説明されています。
基礎的・汎用的能力には4つの力が挙げられています。
- 人間関係形成・社会形成能力
- 自己理解・自己管理能力
- 課題対応能力
- キャリアプランニング能力
それぞれの能力についての詳細は、こちらの記事でご紹介しています。
職業教育の定義とは
一方、職業教育はどのように定義されているのでしょうか。
人は、専門性を身に付け、仕事を持つことによって、社会とかかわり、社会的な責任を果たし、生計を維持するとともに、自らの個性を発揮し、誇りを持ち、自己を実現することができる。 仕事に就くためには、社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる能力や態度だけではなく、それぞれに必要な専門性や専門的な知識・技能を身に付けることが不可欠である。
このような、一定又は特定の職業に従事するために必要な知識、技能、能力や態度を育てる教育が「職業教育」である。
中央教育審議会「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について(答申)」(平成23年1月31日)より
職業教育は、キャリア教育とは違い、職業に従事するために必要な力を育てることを指しています。
しかし、職業教育は学校で完結するものではありません。また、職業に就いたあとも継続して行っていくものです。学校の中でどこまで追求するのかを見定めることも必要とされています。
キャリア教育と職業教育の育成する力と教育活動の関係
キャリア教育と職業教育において、育成する力と教育活動の関係をまとめると、以下のようになります。
キャリア教育は、様々な教育活動の中で行われるものであって、職業教育も含む点が重要です。「キャリア教育」は「職業教育」が全く異なるのではなく、キャリア教育の方が広い意味合いを持っているということになります。
キャリア教育にはキャリア・パスポートを活用しましょう
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