令和5(2023)年度採用・教員採用試験の志願者数・倍率のまとめ:九州・沖縄編
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▼令和6年度採用予定者の教員採用試験情報はこちら▼

 

令和5(2023)年度採用予定者の教員採用試験が始まっています。7月に採用試験の1次試験を行う自治体が多くあります。全国で教員不足が深刻な状況になっていますが、現時点での教員採用試験の志願状況はどのようになっているのでしょうか。最後に九州・沖縄地方で公開されているデータをまとめました。

令和5(2023)年度採用予定者 教員採用試験の志願者数・倍率

福岡県の教員採用試験の状況

福岡県では、県全体、北九州市、福岡市の3つの教員採用試験が行われます。福岡県では、全体の採用予定者数1304名に対し、3585名からの応募があり、倍率は2.7倍となっています。校種別に見ると、小学校は採用予定者数660名に対し応募者は859名で倍率は1.3倍となっており、倍率がかなり低くなっています。他方、高校は151名の応募に対し1240名からの応募があり、倍率は8.2倍です。
北九州市では、全体の採用予定者数834名に対し、応募者は268名、倍率は3.1倍です。倍率だけで見ると、福岡県の試験をほぼ全ての校種で上回っています。
福岡市では、全体の採用予定者数564名に対し、1229名から応募があり、倍率は2.2倍となっています。こちらも小学校の倍率は1.6倍となり、2倍を切っています。しかし、福岡教育大学、福岡大学、中村学園大学など福岡市と「教員養成に係る連携・協力協定」を結んでいる大学に在学している学生には別途特別選考があり、その人数はこちらの表には含まれていません。


出典:令和5年度福岡県公立学校教員採用候補者選考試験志願状況について


出典:令和5年度北九州市公立学校教員採用候補者選考試験の志願状況


出典:令和5年度福岡市立学校教員採用候補者選考試験の志願状況について

佐賀県の教員採用試験の状況

佐賀県では、採用予定者数368名に対し、857名からの応募があり、倍率は2.3倍となっています。応募者が前年から100名近く減少し、倍率は2.7倍から0.4ポイント下がっています。また、志願者の詳細を見ると、中学の英語は採用予定者数と応募者がほぼ同数で1倍となっています。小学校全体でも1.4倍と低くなってしまっています。


出典:令和5年度佐賀県公立学校教員採用選考試験の受験申込状況についてお知らせします

長崎県の教員採用試験の状況

長崎県では、採用予定者503名に対し、応募者は1062名、倍率は2.1倍となっています。前年より志願者は30名程度減少していますが、採用予定者数は40名程度増加しています。その結果、倍率は0.3ポイント下がりました。小学校は1.3倍と低く、他の都道府県ではかなり高い傾向にある養護教諭も5倍を下回っています。


出典:令和5年度長崎県公立学校教員採用選考試験の志願状況について

熊本県の教員採用試験の状況

熊本県では、熊本県と熊本市の教員採用試験が行われます。熊本県では、採用予定者410名に対し、応募者は1166名、倍率は2.8倍となっています。小学校の倍率が1.3倍と他の校種に比べて低くなっています。
熊本市では、採用予定者268名に対し、応募者は716名、倍率は2.7倍となっています。熊本市は特別支援学校の採用枠はなく、小学校と中学校の区分の中に「特別支援推進担当」の採用枠が含まれています。小学校では採用予定10名、志願者21名、中学校では採用予定7名、志願者13名が合計の中に含まれます。


出典:令和5年度熊本県公立学校教員採用選考考査志願状況について


出典:令和5年度(2023年度) 熊本市立学校教員採用選考試験志願状況について 
令和5年度(2023 年度)熊本市立学校教員採用選考試験実施要項

大分県の教員採用試験の状況

大分県では、採用予定者473名に対し、応募者は1023名、倍率は2.5倍になっています。応募者の数は併願者を含む「延べ出願者数」となっています。また、7月10日に1次試験が実施され、「延べ欠席者」は70名でした。また、表には含まれていませんが、特別選考が4種類実施されています。特別選考全体で出願者は64名、採用予定者は67名です。


出典:令和5年度大分県公立学校教員採用選考試験第1次試験 受験状況

宮崎県の教員採用試験の状況

宮崎県では、採用予定者365名に対し、応募者が1185名、倍率は3.2倍となっています。昨年より採用予定者が40名程度減っていて、志願者数も200名弱減少しています。倍率は0.2ポイント下がりました。全体としては九州の県より少し高い傾向にあります。


出典:令和5年度宮崎県公立学校教員採用選考試験応募状況等について

鹿児島県の教員採用試験の状況

鹿児島県では、採用予定者549名に対し、応募者は1476名、倍率は2.7倍となっています。小学校の出願者は昨年より90名程度、高校は20名程度減少しています。栄養教諭は13名、特別支援は7名増えていますが、合計は100名近く減少しています。また、1次試験が7月10日に行われ、全体で69名が欠席しているため、受験倍率はさらに低下しています。


出典:令和5年度 鹿児島県公立学校教員等採用選考試験(1次試験)について

沖縄県の教員採用試験の状況

沖縄県では、採用予定者400名に対し、2869名から応募があり、倍率は7.2倍です。小学校でも3.8倍、中学校で8.7倍など倍率は九州の他の県に比べ高い傾向にあります。昨年度の志願者数は3190名だったため、減少はしていますが、志願者数自体はまだ多いと言えそうです。

出典:令和4年度実施沖縄県教員候補者選考試験 実施状況
令和4年度実施沖縄県公立学校教員候補者選考試験実施要項
令和3年度実施沖縄県教員候補者選考試験 実施状況

九州は倍率が2〜3倍程度、沖縄は応募者が多く倍率も高い

今回は、九州・沖縄地方の教員採用試験の状況を見てきました。九州の採用試験の倍率は2〜3倍程度で、3倍を越えているのは宮崎県と北九州市のみでした。小学校はとくに低く、北九州市以外の試験では2倍を下回っていました。対して沖縄は3.8倍と倍率が高くなっており、地域差があることがわかります。実際に1次試験が実施され、欠席者がいる自治体もありました。実際の倍率はさらに下がる可能性もあります。
文部科学省の資料によると、昨年度の全国の教員採用試験の倍率は、3.8倍だったとされています。採用予定者ではなく実際の採用者と受験者の数で算出されているため、今回の数値と一概に比較できませんが、今年度はさらに下がることも考えられます。35人学級の実現や、定年退職者の増加などにより、採用者数が増えているにもかかわらず、教員の働き方についてネガティブな情報が多く、志願者が簡単に増える状況ではありません。子どもたちの教育のために、現状を少しでも変えられるように大人が動く必要があるでしょう。

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